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覚え書き

僕が「火星」を歩いた日

笹沢教一著「僕が「火星」を歩いた日—宇宙探査最前線レポート」を読了。しばらく前にAmazonマーケットプレイスでかなり割安で入手していた本です。著者は実に羨ましいことに、Mars Societyの実施している模擬火星探査実験(場所はデボン島ではなくユタ州のほう)に日本人として初めて隊員の一人として参加されたのですが、そのときの経験を中心に他の取材活動の成果を交えつつ、総じて有人火星探査の現在および近未来を紹介しています。

著者が隊員に選ばれた理由にはいくつかあると思いますが、第一に大学で地質学を専攻されていたというそのバックグラウンド、そして新聞社の科学担当として3年半におよび米国に駐在していて語学力も相応にお持ちであった点が大きいのだろうと思いました。ただ、研究者はもとより火星おたくなる属性の人も隊員として参加した経緯はあるようで、機会さえあれば僕も応募してみたかったなぁと思ったり。宇宙飛行士への憧れは死ぬまで消えることはないだろうし、たとえ擬似体験であろうと、その体験はきっと一生の財産になるハズだからね(隊員のなかにはリピーターもいる模様)。ましてやMars Societyといえば、一時期は日本支部の設立に向け僕も一枚噛んでいた、思い出深い?団体ですから。

本書の感想として、残念に思ったところが二点。第一に、著者が隊員として参加したMDRSでの体験レポートの割合が実はそれほど高くなく、ページ数でいうと全体の3分の1ぐらいしかないこと。個人的には、その貴重な体験の詳細な叙述を期待して買ったこともあり、もう少しページ数を割いてくれたほうがありがたかったかな、と。火星がどういう惑星で、過去にどのような探査が行われ、その結果何がどこまで分かっていて……といった解説も(一般読者向けには特に)必要であり、かつ価格を抑えるには相対的にこのような構成とせざるを得ないであろう点は、理解できますが。そして第二に、第6章以降の話がやや総花的というか、商業宇宙観光だとか中国や日本の宇宙開発の今後へも言及がなされた結果として、有人火星探査というテーマがややぼやけて映ってしまった点。とはいえ、テーマ的にやはり宇宙開発全体がこれからどう進展しそうかを踏まえずして論ずることが難しいというのは理解できるし、正直いってZero G社の提供するサービスの(日本語で書かれた)レポートを目にするのは本書が初めてで興味深かったから、残念な点として挙げるにはやや気が引けますけど。

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