父親のすすめ
著
日垣隆著「父親のすすめ」、読み終えたのはだいぶ昔に遡るのですが、覚え書きする機会が無かったもので、今更ながらに。本書は自ら三人のお子さんを育ててこられた経験に基づく子育て論を「基本」「問題解決」「進学」「自立」という章立てにそって展開したもの。子供の書いた作文や小論文を紹介するあたりでは、やや親馬鹿というか子供自慢に走ったきらいも感じられ、それに限らず一般論と日垣家固有の事情に限定されるであろう記述とがやや一緒くたにされているような感覚を受けたりもしたのですけど、概ねたいへん勉強させていただきました。新書ですし、割とさくっと読み終えられますので、子育て中の方にもこれからという方にもオススメしたいかも。以下、ラインマーカーで線を引いたなかから、さらに個人的に要注目の部分をいくつか引用。
子育ての目標は、あくまで「子が親を必要としなくなる日をめざす」こと
「小さなこと」に対しても、取り返しのつかないことは徹底的に叱る
命にかかわること以外の失敗は大したことではない
現在の日本で、十八歳(高校卒業)までに社会性を身につけることは困難
世の中には「いろいろな奴がいる」ということを、ゆとりをもった状態で心底理解できる場は、大学以外にはなかなか見当たらない
試験突破能力は、総じて仕事能力の基礎になる
小さな成功体験が積み重ねられないと、自分を含めた能力の数々は、すべて所与のものだという誤解から自由になることができません
子供を大学に行かせたほうが良いとの論調で書かれた第5項については激しく同意で、自分もやはりさまざまな人との出会いを通じて成長できた部分があると確信すればこそ、息子は大学まで進学させてやりたいと思っています。高校に進学したときも自分がいかに「井の中の蛙」だったか痛感させられたけど、大学になるとそのショックがさらにスケールアップして自我を揺さぶり、それがひいては自己の確立とか価値観の形成に貢献したのではないかな、みたいな。
日垣氏が本書で一番伝えたかったという「男親の子育ては楽しい」ということは、今後自分がそれをどの程度実感できるかどうかはさておき、しかと受け止める事ができたと思います。