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ウェブ人間論

まだ頭のなかで消化不良を起こしている部分もあるにせよ、とりあえず梅田望夫氏と平野啓一郎氏の対談「ウェブ人間論」を読了したのでその覚え書き。ベストセラーとなった「ウェブ進化論」を読んでいたせいか、その続編のようにも感じられた本書には、発売前からいくつかの書評を目にしていたことを差し引いても、早く読みたいなぁと思わされる何かを感じていたのでした。自分がIT業界に身を置き、Webサイト構築の現場に仕事で携わっていることも、理由としては大きいのだろうと思いますが……ちなみに文学にはおよそ疎遠な人生を歩んできた自分にとって、平野氏のお名前は初耳でした。氏の著書で「顔のない裸体たち」というタイトルは、なんとなくその印象的なフレーズを山手線の中刷りかなにかで見かけて覚えていたぐらいで(汗
本題というか感想ですけど、内容がタイトル負けしてしまっているのではないか?というのが、まず感じたこと。対談自体はもちろんとても面白かったし、特に後半になってお二人のあいだの意見の相違が極大化するあたりは引き込まれたのですけど、全体的にみて「人間」よりは「ウェブ」に比重を置いた、いや置き過ぎた内容と感じられたのです。最後の「おわりに」でタイトルについての補足があり、そこで多少は納得しましたが。また、Webにはとてつもない可能性があるということを感じつつも、しかし実はその可能性の一端すら僕らはまだ理解できていないのではないか、という漠然とした不安とも焦りとも喜びともつかぬ想いを日々悶々と抱いているからこそ、第四章の「人間はどう『進化』するのか」では、もっと議論を深く掘り下げて欲しかったようにも思います。まぁ、第一章「ウェブ世界で生きる」において、グーグルが実現させるぞと表明している目標の中で、彼らが言うほど簡単には出来ないだろうと僕が思っているのは「翻訳」という梅田氏の考えが、僕の予見と一致していたのはちょっと嬉しかったかも。自分が生きているあいだに技術のチカラでもって「言葉の壁」が崩壊するのを目の当たりにできたら良いなって思うけど、それがもたらすインパクトを考えると、少しばかり恐ろしい気もしていて……どうも、僕はインターネットをバベルの塔になぞらえてしまいがちで。根は楽天的なんですがね。
ああそれと一点、どうでもよいことですが面白かったのが、平野氏が梅田氏に対して自分を古い人間かもしれないけどなどと発言していたこと。だって、梅田氏は平野氏よりもひとまわり以上も年上なんですよ?自分より年下(事実、平野氏は僕よりも若い)の人からそんな風に言われたら、どんな顔をしたらよいかちょっとわからないなw

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