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宇宙飛行士は早く老ける?

一昨日、オーストラリアから帰ってくる飛行機のなかで、「宇宙飛行士は早く老ける?」を読了しました。機内で読み終えた2冊のうちの1冊です。実は発行元にお勤めの友人からプレゼントしていただいたもので、詳細は手元に届くまで知らなかったのですが、なんと翻訳を「中年ドクター宇宙飛行士受験奮戦記」著者の白崎修一氏、監修は向井千秋宇宙飛行士(現在の肩書きはISU客員教授)と(僕が昔勤めていた先の)財団法人日本宇宙フォーラムが担当していました。実際、訳者あとがきにはその節にお世話になった方々の名前を拝見することができ、少し懐かしく思いました。
本書は重力と老化のあいだにある深い関係がテーマ。これまでの数々の有人宇宙飛行や、地上での実験結果を踏まえ、得られた最新の知見に基づく分析がわかりやすく書き記されています。編集の妙なのか、翻訳書にありがちな読みにくさはまったく無く、たいへん読みやすいなぁと感じました。これは原著をそのまま単純に訳したのではなしに、図版や写真が新たに追加されていたり、日本固有あるいは最新の情報を含めたり、いろいろと手が加えられているおかげかもしれません。
いくつか気になった記述をご紹介しておくと、まずはもし赤ちゃんに触れずに育てると、大人になってからの脳の重量は平均より20〜30%も少なくなり、成長にも大きな違いが現れるだろうとのくだり。赤ちゃんにとってはそれだけ触ってあげることが重要らしいです。息子がまだ1歳と3ヶ月ばかりですが、ちょっと意識しておこうと思いました。そして、時差ボケ解消法に関連して飛行中はできるだけ眠ることをお勧めします飛行機に乗ったら、すぐに時計を現地の時間に合わせましょうといったアドバイス。そうすることで体内時計の適応度を高め現地に着いても身体がラクなのだそう。あとはトマス・ジェファソンの身体が弱ければ精神が強いわけがない、という言葉の引用……ああ微妙に耳が痛い。
とりあえず、自分ももっと重力を活かして生きないと勿体無いなぁと思うようになりました。あと、なんとなく両親にも本書を読んでもらいたくなったかな。60才を過ぎて二人とも幸い健康なのですが、これからも元気でいてもらうために、この種の情報は必要だろうと。地球上ではこうだけど微小重力環境ではこうだ、という人間の身体の応答をまめ知識的に知るだけでも結構楽しめたと思いますし。

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