WCAG 2.0と文法的妥当性
著
コメントの受付締切が5月31日までから6月22日まで延期されたWCAG 2.0なんですが、WAI Interest Groupメーリングリストに投稿されたJudy Brewerからのメールにその詳細な理由や根拠は記されておらず、最終草案が多岐に渡り注目を集めているので云々としか書かれていません。僕はやはり、その直前にJoe ClarkがALAに執筆した記事「To Hell with WCAG 2」が少なからず影響したのでは?などと勝手に邪推してますが。でその「To Hell……」、必要以上に攻撃的に感じられる内容で、まぁそれはそれでJoeらしいと言ってしまえばそれまでですけど(Sydneyでいちど会っていますがリアルだととてもそんな風には感じられない人です)、文法的妥当性に言及しているあたりについては、特に同意します。
彼は主にデザイナーや制作者に対するWeb標準の教育/普及啓蒙に与える悪影響を案じ、WCAG 2が文法的妥当性をないがしろにしているかのごとく読める点を非難しているみたいです。それはそれで確かに懸念されるし怖いとも思うけど、機械可読性、つまり対人間ではなく対ソフトウェアの観点で捉えるなら、仕様にきちんと従うことによって高めることのできる類のアクセシビリティは確固として存在すると考えているので(もちろんこれは仕様に準拠したユーザーエージェントの存在が前提になるけど)、いかに特定の技術に依存しないとはいえ、そのあたりは明確に謳って欲しいと思いました(parsed unambiguouslyって意味ワカンネ)。それを謳わずして、対象がコンテンツであれユーザーエージェントであれ、あるいはオーサーリングツールも含めて、どう「テスト可能な」アクセシビリティをもたらそうというのか?そもそも、同じW3Cが策定している他の一連の仕様群に対して、それらをあたかも尊重しないかのように解釈できてしまう状況というのも、いかがなものかと。W3Cは最近好んでOne Webという言葉をよく使うけれど、「One W3Cとして」validityをWCAGのなかで求めないのは、どうもしっくり来ません。一体、誰に・何に遠慮しての内容か?
……てなことを含めて、勤務先(何処)を通じパブリックコメントを提出したいと考えています。残された日数はあと3週間。これが勧告前の最後のチャンスとなるわけではないにせよ、WebアクセシビリティやWeb標準に携わる身としては、しっかりこの草案をレビューしなければいかんなと痛感した、昨晩の飲み会@汁べゑでした(謎