ウェブ進化論
著
というわけで、SXSW Interactiveに初参加するべく、Texas州Austinにやって来ています。飛行機のなかでは、溜まっていた疲れからか搭乗と同時に気絶、離陸にも最初の食事にも一切気づかずに爆睡していました。で、3時間ほど経ってふと目覚めてから一気に読了したのが梅田望夫著「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」。何やら物凄い勢いで売れているらしいですが、テレビ「王様のブランチ」や新聞等で取り上げられているそうですから、そういう「Web以外の」メディアにおける露出が効いてるんでしょうね、きっと。
本書は、基本的にはbuzzwordとしての「Web 2.0」同様、Web(およびWeb業界)の現状認識それ以上でもそれ以下でも無いように感じました。期待していたほど面白く感じることができなかったという点もそうですが、つまり自分が(どちらかといえば)梅田氏のいうところのネットの「あちら側」寄りな属性の人間であり、それどころか「あちら側」のもたらす恩恵にどっぷり漬かってしまっている人間だからなのかなぁ、と。別の見方をするなら、自分は著者にとっての想定読者の範疇では無かった?、とか。ただそれだけの話であって、本書が人にオススメできないというワケではなく、実際ネットとはおよそ無縁の生活を送っている僕の父には読んで欲しいかも、と思いました。日常的にWebの世界と接しないような層に対し、本書の内容が果たしてどれだけ刺さっているかは気になるところですけど(本文中に登場するURIをいちいちブラウザに入力して参照するだけの気力はあるのか?とか)、本書の持つ影響力が何時いかなる形で表出してくるか(あるいはしないのか)を、個人的には楽しみにしたいと思います。
ところで終章「脱エスタブリッシュメントへの旅立ち」は本書のなかでも異質の存在で、本題であるWebの進化からやや離れて梅田氏の人生観みたいな内容になっています。僕はその章を実はイチバン興味深く拝読しました。Webという存在のおかげで職を得て生きながらえている自分という存在を、再度見つめなおす良い機会になった、とも思いました。