宇宙日記
著
野口聡一宇宙飛行士の書いた「宇宙日記—ディスカバリー号の15日」を読了。これは野口さんが宇宙に滞在した15日間に記した日記を、ミッション期間中に撮影された多数の写真と共に紹介したもの。実際には、コロンビア号の痛ましい事故が起きてから飛行に至るまでと、地球に帰還した後につづられた内容も掲載されており(JAXA 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センターや5thstar.orgの両Webサイトに掲載されたものと重複)、総じてSTS-114への野口さんの「想い」が集約された貴重な記録となっています。
本書の編集には、「宇宙の歩き方」の取材を通じお会いしたことのある林公代さんが携わられているようなのですけど、やや不親切と思しき点が気になったのが残念。日記を原文のまま公開するという趣旨は良いと思いますが、文中に登場する専門用語や略語の解説が不足しているように感じられました(巻末に索引や用語集があればまだ良かったんですが、それもナシ)。せめて、ISSの全体図くらいはどこかに載せておいて、どのモジュールがどこに位置しているかぐらいはわかるようにすべきでは。それに、「宇宙から見た世界の地形」のページでは、折角美麗な写真を載せているのに、それが地球上のどこの・何の写真であるかが記載されていないのも不便だなぁと思いました(その前の「宇宙から見た日本の地形」ではちゃんと書かれているのに!)。ともあれ、野口さんご自身が発する生の言葉の数々を読むことができるという点では大変有難い一冊です。以下に引用する「まえがき」の一節は特に印象的!
宇宙飛行をして外から地球を見るという経験は、人を変えずにはいられない。すべての人々、すべての生命、すべての景色、すべての出来事は目の前の球体で起きたことなのだから。