@kazuhito
Kazuhito Kidachi's Personal Web Site Since 2000

13日目(2000/1/7)

シャワーを浴びてきた。久しぶりにこの日記を「ためて」しまったのは、完全な船酔い(といっても吐き気は無くもっぱら頭痛だ)になってしまったせいだ。時系列に混乱を来たさないよう、(内容的には)昨日の午後に戻ろう。

3度目の上陸に至るまでの時間を利用し、本を1冊読みおえた。王さんがもって来ていた「ベスト・オブ・天声人語」という本である。その手の文章に飢えていたことや、その本がなぜか日英バイリンガルで書かれていて読むべきボリュームとしてはそれほど多くなかったせいもあって、あっという間に読み終えてしまったけれど、それなり面白かった。

3度目にして今回の旅で最後の上陸先はAitcho Island Groupに属する小さな島である。ペンギンと出会える最後のチャンスとあってかなり気合いを入れようと思った。空はあいにく雲っているが、この島の地形やまわりの他の島々の実に豊かな(凹凸のある)地形を見るにつけ、もし晴れていたならさぞ素晴らしい眺めだろう、と思う。

この島にはジェンツーとアゴヒゲのルッカリーがあったほか、アザラシも数頭目にした。アザラシは、上陸地と反対側の海岸線に沿って、2頭と3頭に別れて寄り添って寝ている大きなものと、その辺りからかなり離れて寝ている子供が1頭、さらにそこから離れてまた別の1頭の子供が寝ていた。やはり子供の方が寝ている顔も可愛いし見ているだけで楽しい。起きたところも写真に撮りたいなぁ、と思いしばらくずーっと待っていたら起きた顔を見せてくれたりもした。

ペンギンはこの島では本当にいたるところに巣を作っている。なかには浜辺に埋もれた鯨の骨の凹凸を利用し、かつその周りに巣を作るグループも。その多くが既に雛を持っており、子育て中だった。今回の上陸ではAPSカメラ(IXY)でようやく追いかけ給餌のシーンを撮影できた(と思う)。また、ある巣の集団と集団の間でしばらくアゴヒゲをしゃがんで観察していたところ、巣を作っている奴が石を探しに僕のすぐ側(それこそ10cmも離れていない、まぢ突っ突かれるんぢゃないかとすら思った)にまで寄ってきてくれたことが2度あった。

結局彼?はその都度僕の近くをしばらくゆっくり歩いて(いったい僕の格好のどこに興味を示したというのだろう?)、自分の属する集団とはまた別の集団の方へ行って、ちゃっかり別の巣の近くの石を盗んで?運んでいたんだけれど。(残念ながらあまりにも近くにこられたので動くことができず、ゆえにそのときの写真は撮っていないのだ。)

またそれらとは別にジェンツーにもかなり接近される機会があって(こちらはしっかり写真を撮った)、とにかく最後の上陸にふさわしい?体験を得ることができ、大満足で島を後にした。VAVILOVに戻るのはかなり最終グループに近かったが、おかげで体はかなり冷えてしまって、もちろん部屋にすぐとは戻らずまっ先に熱いコーヒーを取りに行ったさ。

その日の夕食はビュッフェ形式のスイス料理で、今までに無く遅い時刻の9時過ぎから始まったのだけれど、その頃には既にUshuaiaへの帰途についたVAVILOVはかなり揺れはじめており、またしても酔い止めの薬を飲むタイミングを失った僕はあっさり船酔い(ただし頭痛only)にかかってしまい、量も食べず、デザートを待たずに退席、速攻で寝た次第。しかしかなりの間頭痛のおかげで眠れなかった。

で、今日は寝坊をしてしまい、朝7時45分の放送に起された。掃除のおばさんが来る前にとシャワーを浴び、それから今日が洗濯サービスに出せる最後の機会なので洗濯ものをまとめて、PSION 5mxをポケットに入れて(食堂に、ではなく)Libraryに来てこれを書いているという次第。

途中、いつものおばさん含め2人のロシア人に「ドヴライ・ウートラ(ロシア語で「おはよう」)」と挨拶したらちゃんと返してくれて嬉しかったな。また、階段で例のタヒチに住む夫婦にあった。夫婦とは昨日の夕食でも同席し、僕が具合いが悪いのを知っていたので、今朝は体は大丈夫かと聞いてくれたけれど、相変わらず頭痛がひどくて何も食えないぜーと言って挨拶した。

現在、夜の6時。船は、相変わらずDrake Passageを通過中であり、それなりの揺れ(といっても、往路同様、いんこさんのときとは比にならないぐらい今年のDrakeが「穏やか」であることは間違いない)が続いている。結局昼食もぬいた。食欲が出なかったのだ。昼食時に王さんが持ってきてくれたバナナ1本とリンゴ1個だけはありあたくいただいた。

王さんいわく、昼食時に皆から僕について質問を受けたそうだ。それはそうかもしれない、食事をいつも一緒にしているアジア人は僕らだけであり、その片方しか今日はずっと姿を現していないのだから。ただ、まぁ、夕食は食べようと思うけれど。割れるような頭痛も今のところはひいているし。

そういえば昨日読んだ「ベスト・オブ・天声人語」に紹介されていた、映画「慕情」の次のような台詞が気になり続けている。ヒロインが恋人に次のように言うそうだ、「ああたは優しいわ。優しさより強いものはないわ。」実際その映画を見たことは無いけれども、この言葉ってすごく印象的だ。いろいろ考えさせられる。

また、よほどスターバックスが懐かしいのか、今日1日ごろごろと横になっている間に何度かみた夢の中で、キャラメルフラペチーノを飲む夢?を見た。かなり、病気だ。

前の日 | 次の日
現在地:ホーム > 南極旅行記 > 1回目 > 日記 > 13日目(2000/1/7)
Google カスタム検索を利用しています