人を動かす 文庫版
著
少し前に、とある会議の場でこの本が参考になるかも......という感じで紹介したのが『人を動かす 文庫版』。人を動かす、とだけ聞くとどことなく上から目線を感じてしまうけれど、訳者あとがきに
人間関係の分野では、本書は、まさに、現代の古典とも呼ぶべき位置を占め、万人必読の書となっている
とあるように、決して上司と部下みたいな仕事上の関係に限らず、より良い人間関係とは何かを考えるうえでとても参考になる本でした。豊富に紹介される事例がややまどろっこしく感じられもしたけれど、耳の痛い話がたくさんあります:
悪い人間ほど自分のことは棚に上げて、人のことを言いたがる。
他人の欠点を直してやろうという気持ちは、確かに立派であり賞賛に値する。だが、どうしてまず自分の欠点を改めようとしないのだろう?
「笑顔を見せない人間は、商人にはなれない」
冷たい会社を温かくするには、一つの方法がある。人の名前を覚えることだ。
議論は、ほとんど例外なく、双方に、自説をますます正しいと確信させて終わるものだ。
何に腹を立てるか、それで人間の大きさが決まってくる。
自分が悪いと知ったら、相手にやっつけられる前に自分で自分をやっつけておいたほうが、はるかに愉快ではないか。
非難は、どんな馬鹿者でもできる。理解することに努めなければならない。
正直、本書をもっと早く読んでいたら、きっと色々うまくやれたはず......と思わされました。社会に出てからのあれこれだけでなく、学生時代にあった人間関係のごたごた等を思い出すにつけ。それだけ、本書であぶり出されている人間の振る舞いは、本質に迫っているということなんだろうな。極端に文化的背景が違った者同士でなお、本書の内容が活かせるかはちょっとわかりませんが。