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続・浅川賞について思うこと

昨年のクリスマスに、「浅川賞について思うこと」という記事を書きました。公益社団法人日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会の企画するWebグランプリにおいて、アクセシビリティに優れたサイトを表彰する浅川賞の選考に、一種の疑義を投げかけたものです。そしてつい先日、2016年の受賞サイトが発表されました。今年については特別賞はなく、唯一、NEC Vision for Social Value Creationがグランプリを受賞されたようです。さて、プレスリリース(なぜPDFなのか......)には、その選考につき以下の説明があります:

登録時自己申告によるアクセシビリティ対応度および、Webサイト診断ツール/専門家による検証に基づいて優秀サイトを選定。その中から浅川氏を含む視覚障がいを持つ審査委員によりグランプリが選出されます。本審査では、代替テキストの適切さ、構造化の適切さ、サイト利用(情報探索等)の容易さ、特色のあるアクセシビリティへの配慮など、当事者の視点に基づいた評価が行われます。

これだけを読むと、昨年までの選考と大差ない、つまり自分が昨年要望したより透明性・客観性ある評価はなされていないと考えられます。WCAG 2.0ISO/IEC 40500:2012=JIS X 8341-3:2016への言及もありませんから、浅川氏を中心とした審査委員が内輪で決めた独自の基準に基づき選考・評価されたのだろうと推測します。そういった意味では個人的に残念極まりないのですけど、Web担当者Forumの記事「NECがアクセシビリティ部門で初グランプリ、334名のWeb担当者が審査した「第4回Webグランプリ」」で紹介されていた、浅川氏のコメントに注目:

Webアクセシビリティに対するビジビリティが向上したことを感じ、当初の目標だった広く知ってもらうことが実現できたと思う。新たなフェーズに来ており、視覚障がい者だけでなく、モバイルユーザーが音声で聞いて楽しいサイトなど、新しい評価方法を審査員と決めていきたい(浅川智恵子氏)。

僕が先述のBlog記事を書いたり、Web広告研究会でお世話になっている某氏に直接口頭で直訴(謎)してきたことを受けてのコメントかどうかは、分かりません。しかしそんなことはどうでも良く、アクセシビリティは障害者・高齢者のためだけに有用な品質特性というわけではないこと、またそういう視点に基づいた評価を今後取り入れたい旨を、言外に表現されたのは大変ありがたいことです。

最後に改めて強調しますが、アクセシビリティの維持・向上に取り組んでいるWebサイトに対する表彰は社会的に有意義であり、浅川賞についても、その取り組み自体は素晴らしいものと考えています。来年以降も浅川賞が継続され、かつその選考なり評価がより良い内容へと見直されることを強く期待します。

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