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Re: 【アクセシビリティ対応】ブロックスキップを実装した際の「tabindex」の処理について

広島に行って帰ってきたことについて覚え書きしたいのですけど、それより前に【アクセシビリティ対応】ブロックスキップを実装した際の「tabindex」の処理について - 学校では教えてくれないWeb制作の現場を読んでしまったので、感想など書き記しておきます。

聞く所によると、JIS規格は3年か4年に一度改訂のチャンスがあるらしい。(オリンピックかw)

JIS規格を改正するチャンスが巡ってくる目安の期間は、5年です。5年のあいだに、改正(ないし廃止)の是非を審議する必要があります。日本工業標準調査会のFAQで、【Q9】確認年月日とは何ですか。に対し、以下の回答が記されています。

JISは、制定・改正後から少なくとも5年を経過するまでに、その内容が古くなっていないか等、改めて適正であるかを日本工業標準調査会で審議され、改正や廃止をする必要がなければ、そのまま存続させてよいことが「確認」されます。

Webコンテンツのアクセシビリティに関するJIS規格、「高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第3部:ウェブコンテンツ」(JIS X 8341-3)は2004年6月20日に制定され、その後2010年8月20日に改正されました。御多分に洩れず、JIS X 8341-3についてもその後5年が経つまでのあいだ(=2015年8月20日まで)に改正か廃止かの審議が必要なわけですか、ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)のセミナーなどを通じてお伝えしているように、既に改正の方向で各種の作業が進行してきました。

それはさておき、件の記事の大半はブロック・スキップを実現する際、メインコンテンツエリアへ直接移動するリンクを各ページの先頭に追加するという実装方法を採用する際の課題について解説されています。その課題というのは、主にアクセシビリティ・サポーテッドに関するものなのですけど、この記事を読んだ方がブロック・スキップを実現する手法が唯一、メインコンテンツエリアへのリンク(俗にいう「スキップリンク」)の設置だけであるかのように誤解しかねない、と感じました。

まず達成基準 2.4.1 を理解するにあるように、ブロック・スキップを実現する実装方法は複数あります。そして、どの実装方法を採用するかは個々がどれだけアクセシビリティ・サポーテッドかを踏まえ検討する必要があるのですけど、スキップリンクを設置する実装方法については、記事が解説しているように、閲覧環境側の対応状況に難があります。アクセシビリティ・サポーテッド(AS)情報:2014年6月版において、スキップリンクを設ける方法については

いずれもWAICとして「要注意」の見解を提示しているのです。いっぽう、WAICではかつて達成基準7.2.4.1を満たす条件に関する意見募集を実施し、その結果としてアクセシビリティ・サポーテッド(AS)情報:2014年3月版において別の実装手法(H69: コンテンツの各セクションの開始位置に見出し要素を提供する)に対し達成可能との見解を提示しました(同2012年9月版までは要注意の見解でした)。

WAICの見解はあくまで一つの考え方であって、絶対に付き従うべきものではありませんけども、しかしブロック・スキップを実現するのに、わざわざスキップリンクのようなものを置くよりかは、適切に見出し要素をマークアップしたほうがよほど簡便かつ合理的な状況にあると認識しています。件の記事が解説したところの、フォーカス移動に関するブラウザ間の実装差異を踏まえるならば、尚更です。

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