Re: Webデザイナーを目指す初心者さんが知っておきたい専門用語
著
WebクリエイターボックスのWebデザイナーを目指す初心者さんが知っておきたい専門用語という記事で、アクセシビリティについて言葉の紹介がなされていたのですけど、ちょっと看過できない感じだったので(「Webデザイナーを目指す初心者さん」がこれを鵜呑みにしてしまうと良くないと思い)コメントしておきます。なお、アクセシビリティ以外の用語解説については読んでいません。
Webアクセシビリティとも呼ばれます。
???自分は、そのように両者を混同して呼ばれているのを見聞きした記憶がありません。「アクセシビリティ」と「Webアクセシビリティ」は同じ意味ではなく、両者は包含関係にあると認識しています。あらゆる事物を対象として論ずるときに使う言葉が「アクセシビリティ」、対象をWebに限定して語るときに使うのが「Webアクセシビリティ」だと思います。文脈的に対象がWebであると自明な場合に限り、いちいちWebと付けず単に「アクセシビリティ」と書くことはあると思いますが、さすがに同義であるかのイメージを与えてしまうのはどうかなと。
アクセスのしやすさを表し、実生活上ではバリアフリーとも知られています。
「〜とも」という表現、上述の指摘箇所とも共通しますが......意味的に近いのは同意できるものの、やはり厳密には違う意味の言葉であって、「Webアクセシビリティ」=「バリアフリー」というイメージを与えるべきではないのでは、と思いました(ほかに似た言葉を例に挙げると「ユニバーサルデザイン」についても同様)。Wikipediaのバリアフリーの項を見ますと、「バリアフリー」(barrier free)は建物の段差を取り除くことなどのみを示す
などとありますし、少なくとも代替のアクセス手段を用意するようなアプローチと、障害を取り除くことで特定のアクセス手段を利用可能にするアプローチとは、明確に区別されるべきだと思います。
Webのアクセシビリティにおいては、音声によってWebページを読み上げたり、動画に字幕をつけるなどの工夫をして、身体の不自由な方でもWebサイトを利用可能な状態にすることがポイントです。
若干、障害者対応の色が濃すぎる印象があります。Webアクセシビリティが、決して障害者や高齢者のためだけに必要とされるわけではない点は、別のWebアクセシビリティは、誰がどう必要としているのか?という記事を読む限り、おそらく著者の方は正しく認識されているはず。であればこそ、「Webデザイナーを目指す初心者さん」に向けては、多様なユーザーが多様なデバイスなりソフトウェアでコンテンツを利用できるようにする施策として紹介していただきたかったです。アクセス数とか知りませんけど、Webクリエイターボックスってそこそこ著名な(Webデザイン界隈では広く知られた)Blogであるだけに。
[ 2014-11-20 追記 ] この記事と、同じくWebクリエイターボックスの記事でWebアクセシビリティは、誰がどう必要としているのか?をかなり参考にして書かれたとの印象が強い『アクセシビリティ』Webデザイナー初心者が知っておきたい専門用語 | WEBQUESTという記事を見かけました。何度でも繰り返すけれど、バリアフリーとアクセシビリティは似て非なるもの。そして記事中にあるどんな人がWebアクセシビリティを必要としているのでしょうか
との問いに対して、自分からは「Webを利用する全員」とお答えしておきましょう。