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一般企業におけるウェブアクセシビリティ方針策定と試験結果表示の実態調査(2014年8月)

8/8の覚え書き。ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)作業部会1の会合があり、一般企業におけるウェブアクセシビリティ方針策定と試験結果表示の実態調査(2014年8月)を実施しました。ちなみに一般企業を対象とした前回の調査は今年2月に行っており、そのときの結果は既にWAICのサイトで公開済みです(一般企業におけるウェブアクセシビリティ方針策定と試験結果表示の実態調査(2014年2月)参照)。今回の会合は出席者が自分を含めて4人と非常に少なかったのですけど、それでも180社を分担し調査自体は時間内に終えることができました。調査結果やその評価は、おそらく来月中に公開すると思いますが、自分が担当した50社のなかから、興味深いなぁと思ったのをピックアップして紹介します。WAICとしての調査結果では、あまり事細かには紹介できないと思うので:

これまでと同様、高齢者や障がいのある方など、どのようなユーザにとってもご利用していただきやすいように、アクセシビリティの世界基準であるWCAG2.0(Web Content Accessibility Guidelines 2.0)、および日本基準であるJIS X 8341-7:2011をベースに、アクセシビリティの品質保持に配慮しております。

ノバルティス ファーマ 企業ウェブサイトをリニューアル:ノバルティス ファーマ株式会社

2012年4月6日発行のプレスリリース。どのようなリニューアルを行ったか、という説明のなかでWCAG 2.0に言及しています。がしかし、このリリース以外では特にアクセシビリティへの言及がなかったのが残念なところ。せっかく対応を行っているのですから、ご利用規約・免責事項のページなんかで言及しても良いのでは。あと、JIS X 8341-3:2010ではなくJIS X 8341-7:2011に配慮している、というのがちょっと目新しい。

ウェブ・アクセシビリティの第一人者との連携を図ります。

日本HP ウェブ・アクセシビリティ 日本HPウェブサイトを最大限に利用可能にするための努力

第一人者ってどなたでしょう(ピュア

デンソーのWebサイトでは、JIS規格X8341-3【注2】、W3C【注3】の指針をもとに独自のガイドラインを設けています。

アクセシビリティポリシー|デンソー

独自のガイドライン、気になりますね。サブセットのようなもの、と推測しますけど......実現可能性のあるものをちゃんと考えて項目とか選定されているとすれば、わざわざ独自に作るという選択、素晴らしいと思います。

さまざまな環境でさまざまな利用者がWEBサイトを利用できることを、当社はアクセシビリティが確保されていると考えます。

アクセシビリティ指針 | ソフトバンク

このくだり、まさにWebアクセシビリティそのものですね。WCAG 2.0 Aへの適合を目指しているとのことですが、こうしてアクセシビリティ確保に取り組まれている、少なくとも取り組む姿勢を対外的にしっかり打ち出しているのは、もっと社会的に評価されるべき(今はまだそれが常識化していないので)。

伝えたい情報を正しく理解していただくため、ウェブサイト構築にかかわる全てのスタッフがそれぞれ協力しあい、組織的に高い品質のアクセシビリティを目指します。

サイトポリシー | SAMURAIZ Corporation

ウェブサイト構築にかかわる全てのスタッフがそれぞれ協力しあい、というのが個人的に刺さりました。実際、Webアクセシビリティ対応はフロントエンド・エンジニアだけでも、ビジュアルデザイナーだけでも達成できることではなく、企画から運用に至るまでの全てのプロセスにかかわる全員の意識と努力が求められます。

近年では、スマートフォンやタブレットの普及などにより、お客様の年齢や障害の有無のみならず、お客様がウェブサイトにアクセスするデバイスや環境の多様化も加わって、アクセシビリティの重要性はますます高まってきました。

ウェブアクセシビリティ方針 | コニカミノルタ

まさに僕が勤務先などでよく口にしていることですが、マルチデバイス対応とアクセシビリティ確保の共通性に言及されています。JIS X 8341-3:2010に基づく試験結果なども公開されており、自分が調査した範囲においてはソフトバンクと同様もしくはそれ以上に素晴らしい取組みをされている印象があります。

当ウェブサイトは、さまざまな技術的環境や身体的特徴をお持ちの方を含めて、より多くの方に快適にご利用いただけるよう、W3Cなどが提唱するWeb標準技術を採用してアクセシビリティに配慮したウェブサイトの制作を目指しています。

ご利用規約・環境|キリン

ちょっと書き方としてはあっさりし過ぎな印象はありますが(特定の仕様や規格への言及は無し)、しかしこのような一文があるか無いかでも、Webサイトに対する信頼感、安心感、印象というのは結構変わるかもしれません。

JIS X 8341-3:2004「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェアおよびサービス-第3部:ウェブコンテンツ」に準拠し、当Webサイトの企画から運用を行い、さらに向上するように配慮をしていきます。

サイトの利用条件 | 大塚商会

JIS X 8341-3に言及されていますが、2010年版ではなく2004年版なのが残念なところ。知っている人が見れば「あれ?」って思われてしまうはず。取組みが停滞してしまっているのか、それとも......?いやしかし明確に言及されている以上、たとえ2004年版であれ、Webアクセシビリティにはしっかり取り組み続けていて欲しいものです。

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