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MACPOWER 2007年06月号

僕はどちらかというとあまり雑誌は買わないほうだと思っていますが、珍しくMACPOWER 2007年06月号は購入しました。特集のテーマが「地球環境のために、クリエイティブは何ができるか?」という点に惹かれて手に取ったのですけど、その最初の見開き(P60-P61)に大きく青と白の世界、つまり南極の写真が掲載されていて、しかもその風景に見覚えがあったのです。すかさず買ってきて家でじっくり眺めてもなお地名は思い出せませんが、2000年と2004年の二度にわたって南極を訪れたいずれの機会においても、間違いなく目にした風景だと思います。天候が良いか悪いかで、南極の景色はかなり趣を変えることもあり、100%の自信をもって地名を言い当てられないのが残念。
ところで、その写真の左下隅には温暖化の影響で氷が溶ける様子さえ、観光スポットとして喜ばれるというキャプションがあり、また別のページにあった写真家・瀧本幹也氏へのインタビューのなかでも、南極の氷棚が崩落するのを見て歓声を上げたり拍手をしたり……。氷が溶ける様子を生で見られて喜んでいるんですよ。なんだかズレていますよね、という言葉がありました。僕が参加したツアーでは、少なくともそういう場面に遭遇したことは無かったし、(規模にもよるけど)氷棚の崩落とか流氷の上下反転は局所的な津波を引き起こしかねないから、どちらかといえばお目にかかりたく無かったです。そういう場面をウリにしている観光地としては、南極よりも南米パタゴニア、ロス・グラシアレスのほうが有名ではないかな。とにかく、そういう場面を目の当たりにして歓声を上げたり拍手をしたりするのは、本人に地球温暖化を祝う意図なんて無く、単にそういう場面に遭遇することのできた幸運(少なくとも僕は大規模な崩落を目にしていない以上、勝手にそれを一種貴重な機会と思っているのだけど)から自然にわき起こるもののように捉えたのですが、どうなんでしょうね。本当にズレているかどうかは、拍手なり歓声の主に対して(時間を置いてからでも)インタビューをし、真意を確認したうえでないと僕には判断きないな、と思いました。
同じネタが坂本龍一氏へのインタビュー記事のなかでも取り上げられていて、アメリカから来た観光客たちが崩れる様子を見てヤンヤと喝采するそうですよとのインタビュアーの言葉に、氏はバカがいるのは仕方ないんだよなと返していました。仮に本当に温暖化で氷が解ける様を見て喜ぶ人間がいたとしても(そもそも、その氷解が温暖化によるものかそうでないかは厳密には判断つかないだろうけど)、氏が本気でエゴイズムや矛盾を肯定しながら前に進む必要があると思うならば、氏が呼ぶところのバカの存在もまた、この世に確かに存在するエゴイズムや矛盾のひとつとして受け入れざるを得ないんだよなぁ。

[2007-06-03追記] 偶然、嫁さんがNHKで「ダーウィンが来た!」とかいう番組を見、南極の温暖化の影響がペンギンの生態系に及んでいるという話を聞きました。第56回「石は宝! 南極ペンギン」を見ますと、確かに近年、温暖化による雨が石の巣を水浸しにしてヒナの命を奪うという新たな試練も生じていますとあります。心配……。

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