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障害者政策委員会「ワーキング・セッションIV:情報アクセシビリティ」

6月1日の覚え書き。障害者政策委員会「ワーキング・セッションIV:情報アクセシビリティ」の一般傍聴に申し込んでいたところ、抽選に当選したので、行ってきました。会場は、中央合同庁舎第4号館4階408会議室。国会議事堂前駅を出て建物に向かって歩いているときも、そして入館する際も、物々しい警備を目の当たりにして微妙に緊張しました。

会議の様子については、すでに前半後半に分けて動画が公開されているので、興味があればそちらをご覧いただければと思います。合意形成に向け全員が議論を深める場ではなく、良くも悪くも参加者がそれぞれに言いたいことを言い合う場になるのでは、との予想(偏見?)を抱いて参加したのですけど......実際、そういう側面を感じたものの、そうであるからこそ聞くことができたであろう意見というのもあって、アクセシビリティへの理解を深める良い機会になったと思います。とにかく個人的にはすごく面白かったし、また機会があれば傍聴したいですね。

冒頭、公的機関におけるJIS X 8341-3の準拠状況について、総務省の調査とウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)の調査とでは、方法なり基準が異なるという話がありました。すごく横から口を挟みたくなったのですけど......まず「準拠」という言葉について、一般的な「付き従う」という意味で使われているのか、それともWAICの対応度表記ガイドラインのなかで示された「準拠」なのか、不明確な印象を受けました。第二に、調査方法についてはWAICのそれ(アクセシビリティ方針と、JISに基づく試験結果のそれぞれについて有無をサイト上で確認)に統一すべきでは? と思いました。ユーザーの立場からすれば、方針や試験結果がちゃんと公開されない限り、JISに対応しているかわからないわけですから。

次いで興味深かったのが、マルチメディア教科書についてのお話。石川先生が、文部科学省の取り組みに対してやや苦言を呈されていたのは、教育者としてのお立場があるとはいえ、さすがだなと思いました。現状、ボランティア活動に頼って成立している部分が少なからずある、というのは先日『障害者の読書と電子書籍』で読み知っていたけれど、アクセシブルな教科書の発行なり流通に対しては、やはりボランティアに依存するのでなしに、国がもっと主体的かつ積極的に取り組むべきだろうと思います。教科書に限らず電子書籍全般に関して、マラケシュ条約への批准に向けた道筋を含め、引き続きアクセシビリティ対応動向をウォッチしていく必要があると感じました。

そして、障害者手帳の有無がアクセシブルな製品なりサービスの恩恵を授かることの可否と直結しているとの指摘について。難聴の障害認定が、国内基準と国際基準とで大きく異なっている、というのは初耳でしたし驚きました。また、個人的に思い出深い街のシアトルが、アメリカ国内で最も盲ろう者の住みやすい都市として人気があるというのも初耳でした(便利な制度がいろいろあったり、交通機関も利用しやすいらしい)。閑話休題、障害者手帳のかわりに難病認定マニュアルを使えないか? という意見がありましたが......障害の種類や程度が千差万別である以上、そこに一律の定義なり閾値を持ち込むのはやはり大変なことなのだなと思いました。

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