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Re: アクセシビリティとユーザビリティ

黒須教授が『アクセシビリティとユーザビリティ』という記事のなかで、両者の関係とか言葉の意味について論じていました。過去には、自分もまったく同じアクセシビリティとユーザビリティというタイトルで記事を書いたことがあって、そのなかでは両者をどうすれば容易に識別できるかっていう視点で書いていたのですけど、黒須教授の紹介した積の関係であり、決して和の関係ではないという考え方、表現はなるほどなと。

和の関係においては、一方が優れていれば他方が劣っていても、全体としては問題はカバーされる(否、されてしまう)と考えることになるが、積の考え方であれば、両方ともに優れていなければならない、ということになるからである。

ただ自分の場合、アクセシビリティというのはユーザビリティに対する前提という考え方をしている点が、「積」という漢字一文字では表現されていないところで、ひょっとすると上記の考え方と微妙に違っているかもしれません。両者共に優れているべきなのは当然だけれど、ユーザブルである、という前にまずアクセシブルであるべきでしょう、という。ともあれ、両者にまたがる重複、オーバーラップというの決して少なくないとの認識はありますし、それ以上に両者は連続的という捉え方をしています。

どういうことかと言うと、ISO 9241-11におけるユーザビリティの定義に有効さ、効率及び利用者の満足度の度合いというのがありますけれど、三つある指標のどれ一つとってもそれが極端に低ければ、それは「ユーザブルではない」というより「アクセシブルではない」と言ったほうが適切なのだろうなと。

具体例を挙げるなら、WCAG 2.0 にブロック・スキップと呼ばれる、「複数のウェブページ上で繰り返されているコンテンツのブロックをスキップできるメカニズムが利用可能である。」という達成基準があります。たとえば、効率を問わず目的とするコンテンツにアクセスできさえすればアクセシブルだ、とする考え方はできるかもしれません。しかしそれより前に延々と関係ない内容、リンク、広告なんかが挿入されていた場合、聴覚でそのページを利用する場面においては特に、目的とするコンテンツにアクセスするための効率が恐ろしく低下し得ます。その状況は、「使いにくい」というより事実上の「使えない」に近く、ゆえにアクセシビリティ上の課題として認識・改善すべきでしょう。

だんだん取り止めがなくなってきましたが、ついさっき読んだ記事ですけど、Deque SystemsのDylanが書いたWhat is Accessibility?では、ズバリaccessibility is usabilityと言い切っていたのが興味深い。その記事のなかでは、Derekが地図を引き合いにアクセシビリティを語ったというエピソードもまた、味わい深かったなぁ。

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