@kazuhito
Kazuhito Kidachi's Personal Web Site Since 2000

僕がアップルで学んだこと

少し前に読了した松井博著『僕がアップルで学んだこと』について。著者の松井氏は1992年という、ちょうど僕が初めてのMacを所有する直前くらいのタイミングでAppleに入社、以来2009年4月まで16年間に渡り同社に勤務されていた方。本書は、そのときの経験談を基にして書かれた組織論であり、一種の自己啓発書でもあるのですが、とても面白かったです。

最後まで面白く読み通せた理由としては、やはり自分がAppleとその製品のファンであるというのが大きいのですけど、第1章の「腐ったリンゴはどうやって復活したのか」においては特に、個人的に懐かしい単語や人物名のオンパレードで、Appleにとっての暗黒時代とその頃の自分とを思い返しながら読めたから、かな。やれColorSyncだのSCSIだの......そのあたり、本書ではこまめに注釈が付けられているので、専門用語に疎い方でも難なく読めるとは思いますが。

組織はできるだけシンプルに、階層も少なくするのが良いというのは、Appleの企業規模を考えればこそ、素敵なアドバイスでした。驚かされたのはアップルに在籍当時、私は別に重役や幹部というわけでもないのに、私からスティーブ・ジョブズまでわずか3階層という記述。いやまったく凄まじい、日本だとまず考えにくい。また会社としてやること/やらないことを決めしっかり優先順位を付けるというのも、やや凡庸には聞こえますが、たとえば事実としてインテルCPUへの移行の際には2年の予定のところ、会社を挙げて半年で成し遂げてしまうあたり、フォーカス力半端ない。そして

アップルにおける品質保証部の役割とは、品質を「保証」しようとする努力ではなく、開発中のプロジェクトの状態を定点観測することで、その製品が出荷可能なレベルにどの程度近づいているのかを測る機能を果たしていました。

というのは、自分が勤務先で管轄している品質管理チームと共通する部分があるな、と思いました。保証でないなら、なぜ組織名称に「保証」という2文字を使っているのか不思議に思いましたが。実は、勤務先でもかつては「品質保証」という言葉を部署名に使っていたのですけど、僕が管轄することになったタイミングで名前を変えたんですね。そこにはまぁ自分なりの意図というか、思惑があってのことでしたが。

現在地:ホーム > 覚え書き > 月別アーカイブ > 2013年12月 > 僕がアップルで学んだこと
Google カスタム検索を利用しています