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素直な心になるために

松下幸之助著『素直な心になるために』読了。前に読んだ氏の著作『道をひらく』が良かったので、ほぼ同時期に買っていたと思うのですが......本書については正直、あまり響かなかったというか、最後まで読み通すのがやや苦痛だったというか。とりもなおさず、それは自分の心が素直ではないということの顕れだと思いますが、なぜ氏がかくも素直さを森羅万象の万能薬かのごとく信じているのか、が結局のところ読み取れなかったせいかもしれません。それはある意味、まえがきにある

なぜ私がそのように素直な心の大切さについて、くり返し述べてきているのかといいますと、私は素直な心というものこそ、お互い人間として最も好ましい生き方をもたらすものではないかと思うからです。

という一文に集約されていたとも思いますけど、読み進めるにつれ「単なるこじつけではないのか」「無理矢理に素直さを結びつけているのではないか」「問題の根幹に素直さありき、で文脈を組み立て過ぎではないか」というような疑念ばかり湧いてきてしまって。まぁこんなこと書くと、どんだけお前は捻くれてるんだって感じですけども、実際そう感じたのだから仕方がない。加えて、

人間というものは万物を支配活用することのできる偉大な王者という本質を与えられている

という考え方に馴染めなかったのも、本書をあまり面白く読めなかった原因かと。人間があらゆるヒエラルキーの頂点にあるかの捉え方を自分はしていないし、少なくとも人間自身を「支配活用」できはいないだろうという意味で「万物」はやや言い過ぎのように思っていて。とはいえ、素直な心をもつことの意義というのは確かにあると思いますし、自分も(できることなら)素直な心をもちたい、とは思います。ただ、上述の通りだいぶ捻くれた人間ですから、本書で触れられているなかからだと謙虚さ、寛容さ、柔軟さ、冷静さの4点に絞って、習得を目指そうかと。

なお、第三章の「固定停滞」の節にあった「進取の気象」というのは、「進取の気性」の誤記だろうなぁと思いました。

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