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180日でグローバル人材になる方法

180日でグローバル人材になる方法』なる本を読了。もちろんKindle版です。著者の天野雅晴氏は、グローバル人材の育成に何が本当に必要なのかを長年にわたり検証してきたという人物で、曰く日本企業のグローバル化はあまりうまくいっていないらしい。ビジネスとして「シリコンバレー研修」なるものを実施しているらしく、本書はある意味その宣伝媒体としての側面も少なからず有していました。CHAPTER 7の「MBAに代わる新しい海外研修」で、横社会研修と体感英語研修を二本柱とするGR(Global Ready)研修にページが割かれていたあたりは特に。まぁ一貫していたのは、世界が一つとなって分業するなかにあって、縦社会的特性の強い日本人としては、グローバル化された横社会の長所をいかに取り込み、また融合させていくかが重要というメッセージ。

「グローバル人材」という言葉、いつの間にかあっという間に消費され陳腐化し、「ノマド」なんかと同じくらい揶揄の対象になりがちな印象すらあります。そういう意味では不憫な、ちょっと可哀想な言葉かも。というのはさておき、製造業の分散化、円高、少子高齢化・人口減少、貿易自由化の動きといった国内およびその周辺環境の変化を受け、いまや日本企業のグローバル化は必須かつ不可避であるというのが著者の主張。そしてそのプロセスには大きく二つの壁があるといい、一つが「言葉の壁」、もう一つが「ネットワークの壁」。

言葉の壁については、どちらかといえば個人的には励まされることの多かった内容。なにせ英語は完璧じゃなくていいとか、中学生レベルで十分とか、手段に過ぎないといったことが書かれていたので。今の勤務先に転職してからしばらくの間、割と積極的に(年に3、4回くらいのペースで)海外に行かせていただきましたけど、そのときの経験ベースでも、その程度で何とかなるものだという印象はありました。もっとも、アクセントがあることと、間違った発音をしていることは別という釘は、しっかり刺されてましたけど。

むしろ越えるのが難しいだろうなと感じられたのはネットワークの壁。米国(や米国に端を発して「グローバル化」された国・地域)では、個人の自律と分業を大前提とし、異なる文化がしっかり共存し得る基盤を備え、構造的にはフラットな企業組織が多いらしい。そうした環境を背景に、個人間の信頼に基づくネットワークが形成されており、会社の壁を越えた「横社会」に対して、いかに入り込んでいけるのかが鍵なのだとか。大学がグローバル社会のネットワークへとつながる最もオープンな入口になっている、との指摘は興味深かったです。また「初めから海外をベースにして、海外の人たちと一緒になって新しい価値を創造する」という考え方が必要というのは、対等なコミュニケーションが前提になるとはいえ、賛成できる主張でした。

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