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鳥人間コンテスト史上、最大の好機

......という表現は物議を醸しそうですが、昨日発売の女性自身 2591号に掲載された記事『26歳女性涙の提訴 地獄の6年間 「鳥人間コンテスト」の事故で私は動けない体に!』で取り上げられた件を全力で前向きに捉えるなら、そういうことになると思うんです。何の好機かと言えば、鳥人間コンテストのより安全な(人命を尊重する、と言ってもいい)運営に向けた改善の好機、という意味ですが。それがおそらく、原告であるゴスロリ社長はるにゃんさんの望む裁判の帰結だと思うし(金銭的な解決はそれはそれとして)、実際【2007年・鳥人間コンテスト・事故・裁判】週刊誌「女性自身」様の取材を受けてきましたという記事では、そういう書き方をされているわけですが。

自分も学生時代に人力飛行機のパイロットとして二度、あのプラットフォームから飛び立った経験の持ち主として敢えて書かせていただくなら、パイロット自身の責任が全く無いわけではないでしょう。命を預けるに足る機体性能が大会当日までに確認できていなければ、搭乗を拒否する選択肢もあったハズ。無論、そんなことは外野の人間だからこそ言えるというのは百も承知しており......当時の状況として、チームの仲間も大会運営側も「それでも飛んでくれ」が基本的なスタンスだったのは想像に難くない。つまり、パイロットが自らの安全を理由に搭乗を拒むのは、事実上不可能に近かったのではないかと思います。だからこそ、鳥人間コンテストの運営側がもっと安全面に配慮すべきであり、主翼の荷重試験すら行うことなく琵琶湖まで運ばれてきたような機体は言うに及ばず、大会までに一定の要件(基本的な操縦性能を確認できている等)を満たせなかったチームには、フライトを許可すべきではないと自分は考えます。

僕自身、大会本番では二度とも「幸いにして」かすり傷ひとつせず湖岸に戻れたけども、試験飛行においては危なっかしい目に何度か遭っています。手製の飛行機で飛ぶことがどれほど素晴らしく、と同時に危険な挑戦であるか......そういう意味では、やはり他人事には思えませんし、本件が広く人力飛行機界隈にとって良い意味で啓蒙の機会、さまざまな側面から安全性向上に取り組む契機となることを願って止みません。引き続き、裁判の行方には(さすがに傍聴には行きませんけども)注視したいと思います。大会の中止という、本件の直接の関係者がおそらく誰一人として望んでいないであろう悲しい結末にだけは、どうかなりませんように。

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