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僕の死に方

金子哲雄著『僕の死に方 エンディングダイアリー500日』は、年始の休暇明けくらいに読み終えた本。流通ジャーナリストという肩書きであるとか、金子哲雄という人がその肩書きを名乗っていることを知ったのは、41歳の若さで亡くなられたことを伝えるニュース記事で、でした......日常的には全くテレビを見ない生活を送っているし、故人が連載をもっていた女性週刊誌の類にも興味は無かったから。しかし生前に書かれた、告別式の会葬礼状を読んで、なんて凄い人なんだろう!と。

礼状の全文は、金子哲雄さん、通夜参列者に手紙 - 芸能ニュース : nikkansports.comなどで読むことができます。人間、誰しもいつかは死ぬとはいえ、ここまでしっかり事前に準備のできる人はそう多くないはずで、驚かされました。きっと精神的に強い人だったんだろうね......と思ってはいたのですが、その強さから自分が何か学べることがあるかも、と感じて本書を購入したのは昨年末のこと(ちなみに命日は昨年10月2日)。

なにぶん、自分よりたった2歳年上(つまり姉と同い年)の方の書かれた文章だけに、闘病生活のくだりは読んでいてだいぶ辛かったけれども、奥様の書かれたあとがきのほうが、もっと辛かったです。極めて冷静かつ客観的に故人が自らの死を受け入れ、またそれに備えることができた理由は、あとがきのなかで奥様による分析として書かれていた以下のくだりがきっと正解なのでしょう:

亡くなった後、皆さんから、どうしてご主人はあそこまで強いのか? とよく尋ねられました。その時はうまく答えられなかったのですが、病気を宣告されても、病気が進行してできないことが増えていっても、金子にとって、それはすぐに「過去」のことになるのです。「過去」は変えることができません。数日は落ち込みますが、すぐに立ち上がり、前に進んで行きました。

常に、今、与えられている環境で、全力で生きる。これをずっと実践し続けられた人でした。

自分がもしあと2年後に死ぬとしたら、今から何ができるのだろう。何をしたいのだろう。誰と会って何を話し、あるいは何処の景色の見納めを望むのだろう。故Steve Jobs氏が、かの有名なスピーチにおいて語った問い、If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today? が頭のなかで蘇ります。簡単に思えていざ実行するとなるとなかなか難しく思えるけれども、生きているあいだの時間は有限であることをもっと強く意識したなかで、やるべきこと/やりたいことの優先順位の見直しを常に繰り返さなければなりません。改めて、そう感じさせられました。金子哲雄さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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