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黒部峡谷・下ノ廊下ツアー プロローグ

いつの頃からだったか、そのきっかけも定かではなく、おそらくは父さんの持っていた山の写真集的な何かで目にしたのが最初だったように思いますが、いつか黒部峡谷は下ノ廊下を歩いて、この目で十字峡を見たいと考えてきました。しかし、下ノ廊下は断崖絶壁の続く危険な道のりであり、かつ途中で問題が発生してもエスケープコースがありません。そして何より、雪が溶けて全行程の開通する期間が一年のうち非常に限られる(だいたい9〜10月)ことから、なかなか実現には至りませんでした。

つい昨年も行こう行こうと思っていたのが、仕事のスケジュールとの兼ね合いから、結局お流れ。そして今秋については、もともと「ロシア宇宙開発の歴史を訪ねて」ツアーに参加するつもりでいたのですけど、思いがけず同ツアーが不催行となったことから、急遽黒部行きを検討することに。なにせロシアまで行って帰ってくるだけの予算と有給休暇の日程を組んでいたので、それよりは安上がりだし時間もかからないし、ということで。

自分が下ノ廊下を歩くならば、最短で2泊3日の日程になることはわかっていました。体験談をいくつか読んだ限り、下ノ廊下を歩いた人の多くは、黒部峡谷鉄道の欅平駅からではなく、黒部ダムの側を起点として選択しています。その場合、途中にある唯一の山小屋・阿曽原温泉小屋まで8時間歩くことを見込めば、早朝に黒部ダムを出発しなければなりません(そして翌日、阿曽原から欅平までは5時間を見込みます)。運転免許をもたない僕は、立山黒部アルペンルートの扇沢駅に始発の時間につくことが難しいため、ロッジくろよんで一泊せざるを得ないのです。

天気予報を確認しつつ、10月13〜15日の日程であれば気象条件は良かろうということで、阿曽原温泉小屋とロッジくろよんに予約を入れたのが10月8日のこと。かなり直前での予約であり、電話をかけるまでは満室・満員ではないかと結構気を揉みましたが、結果的には余裕でした。阿曽原温泉小屋 Web アルバムにある通り、

昨年の崩落災害の取り上げられ方が、かなりセンセーショナル?だったせいか10月6日.7日.8日以外は定員に達していないどころか、一桁の予約しか入っていない日がほとんどです。
混雑が常態化していた下ノ廊下ですが、今年はゆっくり見れるかも。

ということで、今年はたまたま空いていたのかもしれません。その崩落で命を落とされた方がいらっしゃるのは事実で(下ノ廊下・・・中止するべきでした!:デジタルでネイチャーなブログ:So-netブログ参照)、本当に行って良いものかどうか自分も心が揺れたのは事実。ですが、これは何も下ノ廊下に限った話ではなく、自分が過去に6回登っている富士山でも、例年お亡くなりになる方がいます。リスクに対して可能な限りの準備と心構えをして臨まなければ、得る物も得られない......ということで、結果的には十字峡をはじめ素晴らしい渓谷美を堪能し、30kmの道のりを踏破して無事帰ってきたのでした。写真については、Kurobe Canyon 2012 - a set on Flickrにまとめてあります。

ちなみに今回、初めてソロで山歩きをしたのですけど、その長所・短所をいろいろ学ぶことができ、そういう意味でも行ってよかったなと思います。大願を成就させた今、早くも今度はいつ下ノ廊下に行こうか、次はもう少し紅葉の色づいたタイミングで、それに日程を長めに取って黒部峡谷鉄道沿いの温泉にも入らなきゃ......などと考えていますw

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