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アクセシビリティとユーザビリティ

先日、関西でWebアクセシビリティを考える会が開催されたのを機に、アクセシビリティとは?ユーザビリティとの違いとは?みたいな内容の書かれた記事をいくつか目にしました。

言葉の定義というのは、議論をするうえでお互いの理解なり前提を揃えたりするのに重宝する反面、それに囚われ過ぎるとかえって大切な中身(それを「本質」と呼ぶかはさておき)を見失いがちになることがあると思っています。また、文脈によって言葉の意味するところは変化し得るとも思っているので、すべての人が賛同する定義というのはそもそもあり得ない気がするし、あったところでそれにどれだけの価値があるかは、正直よくわかりません。

ことアクセシビリティとユーザビリティについて言えば、多くの人が既に理解をしているように、重複している領域というのは確かにあります。不可分というか、連続的というか、どちらともつかない部分は確かにあると思うのです。それが難しいところであり、面白みであったりもします。そういうわけで異論・反論は多くあろうかと思いますが、自分なりに現時点での理解を整理し、違いを明確にしつつできるだけ短くわかりやすいフレーズに落とし込むならば、

アクセシビリティ
すべての人々にとって使えるかどうかの度合い
ユーザビリティ
特定の人々にとって使いやすいかどうかの度合い

ということになるかと思います。自分の理解のベースには、JIS X 8341-3:2010 解説の3. ウェブアクセシビリティ概論にある内容、またユーザビリティの定義 – U-Siteに掲載されている、ユーザビリティのISO 9241-11における定義があります。これを元に、より伝わるような比喩を考えるとなるとさらに難しいわけですが、自分が以前から使っている例え話はあります。あるところに持ちにくい形状の筒があって、喉がカラカラのある人がそれに水を汲んで飲もうにも、実はひびが入っていたとします。

アクセシビリティ向上のための施策例
ひびを塞ぎ、水ができるだけ漏れないようにする
ユーザビリティ向上のための施策例
取っ手を付けて持ちやすくする

ひびが入ったままでは、水を汲んでもどんどん漏れてしまいます。その状態では、誰がその筒を使っても水を飲むのは難しいわけで、アクセシビリティ上の課題と捉えることができます。いっぽう、取っ手を付けることで筒が持ちやすくなる(=使いやすくなる)かどうかは、人によるでしょう(筒の形状次第でもあります)。どこから、どういう体勢で水を汲むかも、関係するかもしれません。それはつまり、アクセシビリティというよりユーザビリティ上の課題と自分には映ります。とまぁそんな感じなんですが、どうでしょうね……。

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