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格差が遺伝する! 〜子どもの下流化を防ぐには〜

格差が遺伝する! 〜子どもの下流化を防ぐには〜」を読みました。著者は以前ベストセラーとなった「下流社会」を著した三浦展氏。本書のタイトル、まだ幼い子を持つ親は特に引き込まれるものではないかと思います。しかしあとがきで知ったのですが、本書の企画を提案した編集者の方は、もっと過激な(著者曰くあまりに過激で紹介できないほどの)タイトルと共にテーマを提案していたようですね。どれほど過激なタイトルだったのか気になりますが、それはさておき。本書では、小学校2〜6年生の子どもを持つ母親1443人を対象にアンケート調査を行った結果が紹介されています。成績の良い子供の傾向として、

といった項目は、アンケート結果を読むまでもなく予想できること(高所得で貯蓄も十分あればより評判の良い塾や学校に子供を入れることができるし、自身の学歴の高さは少なからず向学心とか教育意識をもたらすだろうから)。ほかにも、まぁそりゃそうだろうね、的な内容がデータによって裏付けられるかたちで多数紹介されているのですけど、いくつか意外な興味深いデータもありました。たとえば、個室があるかどうかと成績は無関係、というのはその一つ。

しかし、データを読み解くうえで不安を覚えたのも事実。それはアンケート結果自体の信憑性、有効性もさることながら、果たしてどの程度の数値がパーセンテージの差として顕れればそれを有意なものとして解釈できるのか、というあたり。一方が他方の倍以上の割合を占めているのであれば、いくら統計に疎い自分にだって有意な差、注目すべき事項として識別できるけれど、たかだか数パーセントの違いを取り出して論じ差別化することのリスクはどの程度あるのだろう?みたいな。

ただ、著者の主張されるとおり子供の成績に格差を生む要因として「収入の格差」とは別に「生活の質の格差」があるとして、たとえ前者の改善が難しい状況なり社会であったとしても、後者の改善に継続的に取り組む必要がある、ということは肝に銘じておこうと思いました。その取り組みを通じ、前者をも改善できたなら、あとはその好循環を維持発展させる方向で頑張るだけ、かな。

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