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文法的妥当性とWebアクセシビリティ

現在、W3C/WAIWCAG WGでは、現行のWCAG 1.0の次のバージョンである2.0の策定に向けた活動が続けられています。先日もその一環としてBrusselsでF2Fな会合が設けられたのですが、その会議でくだされた一つの決定が議論の的となっています。「14 June WCAG F2F, Brussels」の「Guideline 4.1」がまさにその的であり、Juicy Studioの「Validity and Accessibility」にわかり易くまとめられているのですけど、要は文法的妥当性のガイドラインにおける位置づけを(レベル1からレベル2へ)格下げしたということらしいです。
レベル1とは何かといえば、英語の原文(2004年11月19日付ワーキングドラフト)にはAchieve a minimum level of accessibility through markup, scripting, or other technologies that interact with or enable access through user agents, including assistive technologiesとあり、最低限のアクセシビリティを達成するための事項とされています。文法的に妥当であるからといって、それがたとえば視覚障害者にとって必ずしもアクセシブルな文書とは限らない、というのはもちろん理解できるのですけど……個人的にはこの変更は残念です。レベル1として定義しておくことで、HTML品質の重要性をより広範に対し訴求することができたハズと思うがゆえです。適切な文書構造をおざなりにして、盲目的にソースをvalidとすることばかりが普及しちゃってもアレですけども。
今回の一連の動きとどこまで相関があるかは不明ですが、時期を同じくしてWaSP内にATF(Accessibility Task Force)が設置されました。つい最近WaSPに参加したDerek Featherstone氏もその一員です。ATFの役割についてはリリース「WaSP Forms Accessibility Task Force」のなかでThe Accessibility Task Force will play a key role in assisting product developers and manufacturers to improve Web standards support within their productsとありますから、Guideline 4.1の変更事由にあるCurrent WYSIWYG and CMS tools do not necessarily generate valid code, making it difficult or impossible for many authors to meet this SC. (We cannot force authors to do manual coding to conform to WCAG.)の部分をW3C「外」から補完することを期待したいです。

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