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10日目(2000/1/4)

朝食を食べ、シャワーを浴び、歯磨きと髭そりを終えてまったりとしている。

結局昨日も夕食は食べなかった。別に船酔いになったわけではなく、単にお腹が一杯だったので。考えてもみて欲しい、1日中船のうえにいて(実際昨日は上陸の機会が一度も無かったのだ)、毎日フルコースの食事を食べては寝ての生活をしていれば誰だってきっとこうなる。(でも王さんは食べに行った。バナナは生憎取って来てもらえなかった、昨夜は珍しくフルーツバスケットが無かったらしい。バナナ1本くらいは食べておきたかったんだけど。)夕食の時間帯はLibraryでひたすら地球環境論を読んでいた。

いつもだったら夜9時過ぎには各部屋に配られる、翌日の予定の紙を待っていたのだけれど、珍しく9時を過ぎても届かなくって、そのまま待ちくたびれて寝てしまった。

今朝は朝5時半に放送で起された。慌てて今日の予定表を探し、机の上にみつける。(きっと王さんが置いておいてくれたのだ。)寝惚けながらも英語を読むと、なんと早朝にPort Accessに上陸する機会がある、と書いてある。Zodiac乗船準備は6時だ。シャワーを浴びる余裕はとても無い。とにかくいそいで支度をする。

Port Accessでは、アデリーのルッカリーを目にするが、あまり近付けなかった。近くをたまたま歩いているのをみつけては写真に収める。ただ、今回の上陸に関していえばなんといってもアザラシの巣に近付けたことが一番の収穫。観察しているとかなり面白かった。あくびも見た(口の中はとても鮮やかなピンク色だった)し、くしゃみ?のような動作をして鼻水を吹き取ばしたりしているのを目にすることができた。陸上に6頭、海中にも5頭くらいはいたかな。また、背中をかくときには本当に遠目にはひれのようにしか見えないのがちゃんと人間の手のように機能していて驚いた。

一緒に朝食を食べたのはGunnarとArt。Gunnarのことを書いておこう。彼はブラジル人なんだけどBuenos Aires在住。皮製品(家具)を扱う商売をしており、世界中を飛び回っているらしい。日本にも3度来たことがあるほか、なんとまったく同じVAVILOVで3年前に南極を訪問している(今回が2度目だそうだ)ほか、過去には北極点ツアーにも参加したことがあるらしい。強者だなぁ、だってパンフレット見たけど北極点ツアーの参加費用って南極のそれの2.5倍ぐらいもするんだ。実は彼は超お金もちなんだろうな。

Art(Quarkの乗船員にして地質学者)とは日本が南極探査について比較的長い歴史をもっていることや、(僕がSpace Industryで働いていることを話したあとで)例の火星における生命に関する議論を呼んだ隕石(ALH84001)、それにエウロパにおける生命の可能性を示す存在が南極において発見、研究されていることなどについて話した。また、かねてから疑問に思っていた、平らな流氷の上面における球状の氷について聞いてみたところ、やはりそれは風が作ったのだろう、ということであった。

今日2度目のZodiac乗船から戻って来た。行き先は、Cape Renard。これが、南極大陸に上陸する最後の機会になるはずである。小雪の吹き荒ぶ中で流氷を抜け、かなり高い断崖のわきを通り、アザラシと出会いつつ、上陸地点に到着。アデリーを数羽見かけたほかはペンギンとは出会わなかった。とにかく、もうこれを最後に南極大陸に足跡を残すことは無いはずだという感傷?とともにしばし景観を楽しむ。何年前に降ったかわからないような雪も、記念に食べておいた(少しだけね。)

昼食時にEnlkさんに頼んで流氷の氷を入れたグラスを持って来てもらった。普通は飲み物を別途注文するともらえるのだけれど、水を飲むためだけにもらたのだ。普通の水の味には変わりはないけれど、気泡がたくさん入っていて氷の外観は面白い。

昼飯食ってまったりしてたら、おばさんが今日出した洗濯ものを届けてくれた。規定の48時間以内だとはいえ、無茶くちゃ出来上がりはえーなっていうか靴下とか無茶くちゃ白いぞをぃ。漂白剤たんまり入れられたかな?

今日3度目のZodiac乗船から帰って来た。

天気が晴れていればもっと眺めも良かっただろうに、小雪のちらつく中の出発となった。(結局、途中から晴れたけれど。)目的地はParadise Harborという場所で、上陸する機会は無く、Zodiac Cruiseのみ。多くの鳥とその巣や、アザラシをみかけたけれど、生物学者Susanの操るZodiacに乗っていたので適切な説明を受けることができたし、1番先頭のボートでもあったので、同じものを見るにもかなり有利?だった。鳥(Shags)の巣の巣では、多くの巣で雛を見かけたけれど、巣から落ちてしまったと思われる雛も見かけた。その雛はそのまま死んでしまうしかないだろう、とSusanは言う。悲しい。あとは、氷のブルーがとても綺麗で、また海水の透明度が高く、海面上に出ている部分の7〜8倍の部分が下にくっついているのが良く見えたのは印象的だった。

帰って来てから、実は乗船以来初めてのAfternoon Teaに参加。コーヒーと菓子を食べながら上の文章を書いてたら食堂のロシアのおばさんにPSION 5mxの値段を聞かれた(英語で。)お金の単位は何で答えれば良いのかと聞きかえしたら、こちらの英語は通じなかったらしい、悲しい。機会があれば後でSimple Englishで教えてあげよう。

現在、夕方6時半過ぎ。外は吹雪いているっていうか雪が水平に(前方から後方にむかって)降っている。引き続き船は北上中だ。

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